皆さんは『過労死(Karoshi)』という言葉が海外の英語辞書に載っていることはご存知ですか?
ある意味世界から注目されるほど異常な働き方をしているのが日本人なんですね。
僕が海外に住んでた時に外国人の友達に言われたことがあります。
「なぜ日本人は死ぬほど働くのか?」と。皆さんならどのような返事をしますか?
人によっては「日本人だからしょうがない」とか「日本の仕組みだから我慢するしかない」という方もいるでしょう。
もちろん本当に仕事が好きな人は問題ないですが、世の中の大半は仕方なく長時間働いてるだけではないでしょうか。
ではなぜ一向に改善しないのか?そしていつになったら日本は変わることができるのか?
今回は日本人が長時間働く本当の理由や改善点について解説していきたいと思います。
日本人が知らない過労死ライン
まずは過労死ラインという言葉の意味から理解しておきましょう。
過労死ライン(かろうしライン)とは、日本において、健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間を指す言葉。労働災害認定で労働と過労死・過労自殺との因果関係判定に用いられる。
更に分かりやすくする為に箇条書きでポイントをまとめました。
- 月80時間を超える時間外労働
- 1日4時間以上の残業で12時間以上の勤務
- 1ヶ月の総労働時間が240時間を超える場合
- 健康障害の発症2~6ヶ月間で平均80時間を超える時間外労働の場合
- 発症1ヶ月前に100時間を超える時間外労働をしている場合
このような基準が設けられていますが、これはあくまで目安であって、過労死ラインを超えてないから問題ない訳ではありません。
1ヶ月間あたり45時間を超える時間外労働をして、その時間が長くなればなるほど業務と健康障害の関連性が認められるケースもあります。
過労死ラインを超えるのは違法?
では過労死ラインを超えて働かせた場合、会社側の責任は問われるのでしょうか?
そもそも残業をさせるにはサブロク協定を結ばなくてはなりません。
労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。
法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、
・労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
・所轄労働基準監督署長への届出
が必要です。36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。
このように厚生労働省のHPにしっかり明記されているので、このルールは企業側も労働者も守らないといけないということ。
ただここで注意点がありまして、この協定を結ばずに残業をさせている場合は完全に違法です。
また結んでいた場合でも、45時間を超えて時間外労働を行なわせているのであれば、それも違法行為になります。
他にも時間外労働をさせるのであれば、通常の賃金から25%の割増賃金を支払わなくてはならず、守らない場合違法になるケースもあります。(※平成22年の改正で時間外労働60時間を超えると50%の割増賃金を払う必要があります)

過労死ラインは国が定めた法律であり、このルールを守らない企業に関しては完全に違法になります。
なので労働者も現在働いている会社がサブロク協定を結んでいるのか、そもそも残業をさせることが違法じゃないのかをしっかり確認するようにしましょう。
特に就職活動などで契約書にサインする時に聞いてみるのがオススメ。
日本国内の労働時間の基準
もう皆さん分かっているかと思いますが、日本では労働基準法という法律によって、労働者が1日に働いていい時間は「8時間まで」と決められています。
更に、週あたりの労働時間の合計も40時間以内と定められているのです。
しかし根本的な問題として、「1日8時間労働」というのは本当に理に叶ってるのでしょうか。
この制度が生まれた歴史を調べると、産業革命の時代まで遡ります。
八時間労働制(はちじかんろうどうせい)は、労働者の健康を保障するために、休日を除き、労働者に1日に8時間、即ち1週間に40時間を超えて労働させることを禁じる制度である。
産業革命当時のイギリスでは工場労働が人々の生活を激変させつつあった。
平均的な労働時間は1日に10時間から16時間で休日は週に1日のみであった。
ロバート・オーウェンは1810年に1日10時間労働を訴え、経営していたニュー・ラナークの工場で実践に移した。
さらに1817年には1日8時間労働を新たな目標とし、「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」(Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest)のスローガンを作り出した。
このような制度が制定されてから、皆当たり前のように一日8時間を目安に働いている訳ですが、少し疑問に思いませんか?
なぜ毎日のように残業させられるのか?と。
実はこの法律には例外があって、「会社側と労働者側が合意の上で労使協定を結べば、それ以上労働させても良い」とされているのです。
この規定こそが先ほど説明した「サブロク協定」になります。
これによって労働時間の上限が増えるというもの。
- 1週間・・・15時間
- 2週間・・・27時間
- 1ヶ月・・・45時間
- 1年 ・・・360時間
これを基準に単純計算でいけば、1日あたり1.5時間までは働くことが可能という計算になります。
終業時間が18時なら19時半まで。基本的にこれ以上の残業は法律上認められていないのです。
でもかと言って「違法だ!」と簡単に言えないのが、現代の労働に関する曖昧なところなんですね。
単に労働時間だけを基準にするなら、日本の全ての会社がブラック企業になると思います。
長時間労働が無くならない原因
じゃあなぜ長時間労働をさせる会社が無くならないのでしょうか。
- 長時間労働で人手不足を補う為
- 雇用の流動性を生みにくい環境
- 少子高齢化&日本経済の衰退
①長時間労働で人手不足を補う為
どの企業も慢性的な人手不足で悩まされており、この原因は大きく分けて2つあります。
- 少子化による労働人口の減少
- 労働者の低賃金化
まず日本は先進国の中で最も少子化が進んでいる国の一つです。
引用元:厚生労働省「人口動態統計」
グラフを見て分かるように、現在の日本は過去最低の出生数になっており、この先長い目で見ても大きな改革を行わない限り労働人口の増加は見込めません。
また労働者の低賃金化が加速しているのもあって、給料の安い職種に就く人材が年々減っています。
特に製造・小売・サービス業・福祉などは正社員ではなく、非正規の人材でコストを抑えた結果、低い給料の仕事を労働者自体が選ばなくなってしまったのです。
その為、外国人やデジタル&グローバルに強い高度な人材の雇用を強化し、それによって2019年辺りから黒字リストラによる中高年のリストラが横行しています。
②雇用の流動性を生みにくい環境
日本は世界で最も雇用の流動性が低く、転職が難しい国です。
最近は国と企業が一緒になって多様な働き方を求めるようになりましたが、それでも一部の企業では年功序列などが理由で転職を行いにくい環境となっています。
なぜ日本は転職が盛んに行われないのかというと、法律によって社員の雇用がしっかり守られているからです。
要は相当な理由がない限り会社側から社員を解雇するのは難しく、労働者側が転職を希望しなければ辞める必要性がありません。
なので労働者側も転職というリスクを負うよりも、今の会社で働いている方が安全だと思ってしまうのでしょう。
またある一定の年齢を越えると、何か専門的なスキルや役職を持っていないと、雇ってくれる可能性が急激に低くなるのも理由に挙げられます。
③少子高齢化&日本経済の衰退
日本は先進国の一つであり、経済的にも豊かな国ですが、かと言って安心できないのが現状です。
具体的な少子高齢化の対策もなく、相対的貧困率も年々増加しています。
特に10~20代の若者、老人、一人親世帯で安定した収入が得られていない世帯が数多く存在します。
貧困層とは、正確には相対的貧困層と呼ばれ、厚生労働省が公表している相対的貧困率の算出方法から等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯と定義付けられています。
2015年時点では等価可処分所得の中央値は245万円であり、この半分となる122万円未満の可処分所得(収入などから税金や社会保障費などを引いた金額)の世帯が相対的貧困層となります。
引用元:厚生労働省
戦後の高度経済成長期は日本経済全体が大きく成長していたので、長時間働けば働くほど報われる時代でした。
しかし現在の世界経済は中国やインド、東南アジア、アフリカ等、当時豊かではなかった国が急成長を遂げていて、日本だけが世界に影響を与える状況ではなくなっています。
そうなるといくら長時間働いても恩恵を得ることは難しく、ただ仕事をするだけでは収入が上がらないことを多くの労働者は気づいていません。
なのでこれからは専門的なスキルを身につけ、どの会社に転職しても活躍できる人材が求められるようになるでしょう。
長時間労働の対策⇒労働者の意識を変える
労働時間が長くなればなるほど、ストレスによる精神疾患や自殺の増加を招きます。
それだけでなく、長時間労働が原因で生産性の低下を作り出し、その負担が更に労働者に降りかかっているのです。
【長時間労働を作り出す悪循環】
長時間労働させる⇒ストレスや過労による体調悪化⇒人手が足らなくなる⇒企業の生産性が低下する⇒残った労働者の負担が増える⇒過労や体調悪化を生み出す⇒更に生産性の低下
今までこの負の連鎖を何度も繰り返し、生産性が上がらないにも関わらないのに努力を求め、労働者の負担が増えて過労死の増加を招いています。
それだけでなく労働者自身に気持ちの余裕が無くなってしまえば、未婚率の増加や少子高齢化にも関係してくるでしょう。
ならば労働者自体が意識を変えていくしかないと思います。
- 長時間労働を強要する企業で働かない
- 低賃金の企業で働かない
- 残業代に期待しない
- どこでも通用するスキルを身につける
- スキル&年収アップの為に転職をする
- 副業で個人で稼げるようになる

そもそも企業に守ってもらうことに期待したり、社会人になっても勉強しない、スキルを身につけないのは世界中で見ても日本人ぐらいです。
海外では大人になっても年収アップの為、スキルが習得できる大学に通ったり、常に新しいことを学ぶのはビジネスマンとして当たり前の話。
最近はITに特化したスキルを身につけていると転職に役立ったり、副業として個人で収入を得ることもできるので、キャリア形成で失敗したくない方にオススメだよ♪
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まとめ
世界から見た日本人のイメージは「勤勉」とか「真面目」だと思われています。
これは実際に外国人の友達から「なんでそんな真面目に働くの?」と言われたことが何度もあります。
それは過去に日本という国が経済発展している時に、当時の労働者が必死に頑張ってきた成果です。
そして世界に名だたる大企業を続々と誕生させました。
しかしその話はあくまで過去の話です。現在の状況とは全く異なります。
少子高齢化、生産性の低下、日本経済の衰退、貧困率の増加など、挙げたらキリがないほど問題がたくさんあるのが今の日本の姿。
だからこそ日本人として日本を捨てる訳にはいかないですよね。
試行錯誤しつつ、経済の立て直しは国と会社側、労働に関する意識は労働者側が変えていかないといけないと思います。
時代が変われば働き方も、文化も今までとは違うものになるのは当たり前の話です。
これからはみんなで将来の僕達の為に、そして子供達の明るい未来の為に、一緒に変えていきましょう。
今回も読んで頂きありがとうございました。
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